「茶色い砂糖(三温糖)は体に良いんだよ」と、母からずっと聞かされてきた言葉。
それって本当なの?
もし本当だとしたら、その理由はどこにあるのでしょう?
白砂糖と茶色い砂糖の違いって?
体に優しい砂糖作りで長い歴史を持つ「宮崎製糖」の工場は、東京・江東区にあります。
その歴史は、まだ砂糖が貴重だった江戸時代にまで遡ると言われています。
オランダから輸入された砂糖の麻袋を再利用して、砂糖汁を作り売っていたのが始まりだったそうです。
1キロ袋に詰めた家庭用の「玉砂糖」も販売され、これらは大手パンメーカーや洋菓子店、さらには有名なお土産や銀座の高級寿司店でも使用されています。
シェフや職人たちから「これなしでは作れない」と絶賛され、宮崎製糖の茶色い砂糖は人気商品やロングセラー商品の味を支えているのです。
では、なぜこれほどまでに愛されているのでしょうか?
砂糖には2種類がある?
砂糖は大きく分けて「含蜜糖(がんみつとう)」と「分蜜糖(ぶんみつとう)」の2種類があります。
一方、「分蜜糖」は、遠心分離機を使って蜜を取り除いた精製された砂糖で、上白糖やグラニュー糖などがこれに当たります。
分蜜糖は色がつかないため、ケーキなどの洋菓子作りに重宝されています。
茶色い砂糖は栄養価が高いの?
上白糖と比べて、茶色い砂糖にははるかに多くの栄養素が含まれています。
例えば、含蜜糖にはカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、カリウムなどのミネラルが豊富です。
マグネシウムは体内で300種類以上の酵素を活性化させ、筋肉の収縮や体温、血圧の調整に役立ちます。
カルシウムやリンは骨を強化するだけでなく、さまざまな代謝をサポートします。
一方で、白砂糖(分蜜糖)は甘さの成分がほとんどで、茶色い砂糖に含まれるミネラルはほぼ取り除かれています。
宮崎製糖では、茶色い砂糖として「赤糖」と「加工黒糖」を製造しています。
宮崎製糖が誇る独自の技術で生み出される濃い色
宮崎製糖の技術で特に評価されているのは、濃い色を出す独自の製法です。
蜜をたくさん加えることで色を濃くすることはできますが、それだけでは砂糖が粘土のようになり、サラサラした仕上がりにはなりません。
多くの蜜を加えつつ、なおかつサラサラの状態を保つ技術が、宮崎製糖の誇る秘密の技術なのです。
茶色い砂糖ができるまで
サトウキビから作られる原料糖は、まず産地の工場で加工され、その後、宮崎製糖の工場へ運ばれます。
最初に行う工程は、原料糖に糖蜜を混ぜることです。
工場内は非常に暑く、特に夏場の作業は過酷です。そのため、職人たちは適度に休憩を取りながら作業を進めているそうです。
白砂糖と黒砂糖の原料は同じ
煮詰めた蜜は、フィルターを通して不純物を取り除きながら、沈殿槽に移されます。
沈殿槽の下部の約15センチは使用せず、上部の蜜だけを取り出し、二重釜に移して加熱処理を行います。
この過程でも不純物を取り除きながら、ポンプで工場の最上階まで運び、高温で加熱しながら濃縮・殺菌します。
次の工程では、鉄製の二重釜でさらに高温で加熱・煮詰められます。
煮詰めた蜜はその後、巨大なミキサーに送り込まれ、空気を混ぜながら一気に粉状にされます。
工場にはいくつものミキサーが並んでおり、見た目は大きなかくはん機のようです。
その後、スクリューコンベアで階下に運ばれる途中、メッシュ状のトンネルを通る際に大きな黒い塊がはじかれ、再びスクリューに戻されます。
こうしてサラサラの粉状になった赤糖は袋詰めの工程へ進みます。
計量・包装が完了した後、X線検査機と金属検出機を通過して製品が完成します。
品質管理には職人の技も必要
品質管理には、職人の経験が欠かせません。
ロットごとに少しずつサンプルを取り、色味を確認し、袋詰めの際には手で玉の多さを感じ取ることができるのです。
製造工程の多くを見ていると、現代では効率化が求められる中でも、丁寧に良質な砂糖を届けようというこだわりが感じられます。
上白糖は糖度が約97%と非常に高く、口に入れた瞬間に強い甘みを感じますが、すぐにその甘さが消えるのが特徴です。
それに対して、今回試食した玉糖は、口に入れた瞬間からゆっくりと甘さが広がり、奥深い風味が長く続くのが印象的でした。
さらに、ミネラル分が豊富に含まれているため、体にじんわりと染み渡るような感覚を覚えました。
「茶色い砂糖には栄養素が含まれているので、健康にも良いんです」と話す宮崎さん。
白砂糖よりもコクがあり、私のように料理好きな人にとって、非常に魅力的な砂糖です。
茶色い砂糖にはミネラルが豊富 まとめ
砂糖を選ぶ際は、ぜひ色の濃さに注目してみてください。
甘さ、風味、そして体に優しいという三拍子が揃った茶色い砂糖を試してみて、普段の料理をさらに美味しくしてみてはいかがでしょうか。