物を手放す際に最大の障害となるのは、「いつか必要になるかも」という思いです。
数多くの物を処分してきた私でも、物を捨てようとするたびに、「これ、将来使うかもしれない」「また読みたくなるかも」と考えてしまうことがあります。
「いつか使うかも」と思うのは、その「いつか」が来たときに物がないと困るという不安があるからです。
つまり、「いつか」が来たときに後悔したくないから手放せないのです。
しかし、手放すことで新しいチャンスを手に入れられるかもしれません。
後悔の可能性は常にある
確かに後悔することはあります。
私は娘や自分の文房具を大量に処分しましたが、時間が経ってから塗り絵を始めたとき、「あの道具があれば役立ったかも」と思ったことがあります。
こういうことはよくあります。
たとえば、着物を着ないからと母の遺品の着物を手放した数年後に急に着物に興味を持つようになったり、痩せたら履こうと思っていたジーンズを諦めた後に痩せることがあったりします。
今の生活に必要ないものが、後々役立つことは不思議なことではありません。
未来を予測することはできないので、「こんなはずじゃなかった」と思う出来事は常に起こります。
手放した後に後悔することはいくらでもあるでしょう。
それでもチャンスはある
しかし、人生には後悔と同様にチャンスもあります。
不要な物を処分した後に訪れるのは後悔だけではなく、新たな機会も必ずやってきます。
必要な分だけ文房具を残し、大量の文房具を手放した後、私は一つ一つをしっかり使い切る生活にシフトしました。
その結果、物を使い切った後の達成感を味わうことができました。
多くの物をため込んでいたときは、買った物をちゃんと使い切れないことに罪悪感を感じていましたが、そうした罪悪感に悩まされることがなくなりました。
使い切る習慣は文房具に限らず、他の物にも広がりました。
購入した食べ物は無駄なく食べきる、手に入れた服は擦り切れるまで着る、セールだからといって不要な物を買わないなど。
新しい物を家に迎えると、使い切れないことがあるため、買い物やもらい物には慎重になりました。
不必要なものを持ち続けていたら…
もし、あのとき大量の文房具を手放さずにいたら、今の私はどうなっていたでしょう?
無駄なものを使い切る喜びや、少ないもので豊かに生きるという考えを知らずに過ごしていたかもしれません。
文房具だけでなく、衣類や食器、本も溢れたままの生活を続けていたでしょう。
私はこの5月に引っ越しを経験しました。
もし以前のままの生活を続けていたら、U-Haulの小さなトラックでは足りず、もっと大きなトラックが必要だったかもしれません。
むしろ、荷物が多すぎて今の小さな地下のアパートには住めなかったでしょう。
そもそも、引っ越しを決断できたかどうかも疑問です。
今、私がシンプルライフを楽しんでいるのは、数年前に「文房具を必要以上に持つのはやめて、必要な人に譲ろう」と決めたからです。
そのおかげで、たとえ塗り絵を始めたときに「あの文房具があればな」と思っても、新しい画材にお金を使ったとしても、手放したことで得た価値の方がはるかに大きかったのです。
捨てることで得られるチャンス
私たちは誰しも、物を手放すことに対して抵抗を感じるものです。
脳は、捨てることによる痛みを強く感じるため、「後悔したくない」という気持ちが強くなります。
しかし、手放すことには後悔もあれば、新たなチャンスもあるのです。
使わないと分かっているのに物を手放せない人は、後悔について考えると同時に、チャンスについても考えてみてください。
不要なものを捨てることで、次のような機会が生まれるかもしれません。
趣味のためのスペース
物で溢れていた場所を片付けることで、新しい趣味を楽しむ空間や仕事のスペースが生まれるかもしれません。
時間の余裕
物を探す時間が減り、その分を読書や運動、家族や友人との時間に充てることができるようになります。
ストレスの少ない生活
物が少ないと生活が効率的になり、ストレスが軽減されます。
ストレスが減ることで精神的な健康が向上し、生活の質も向上します。
経済的なゆとり
不要なものを管理するための費用が削減でき、収納スペースや収納グッズにお金をかける必要もなくなります。
保険料も節約できるでしょう。
すっきりした気分
視覚的にすっきりした環境は心にも影響を与え、余計な悩みが減り、開放感が得られることで新しいアイデアが浮かびやすくなります。
新しいことに挑戦する勇気
物に縛られずに身軽になることで、新しいことに挑戦する勇気が湧いてくるかもしれません。
今まで挑戦したことがないことに取り組んだり、新しい場所を訪れたり、新たな人間関係を築く機会が生まれるでしょう。
「これを手放すとこんなことが起きる」と考えることもできますが、後悔することを恐れるのではなく、チャンスにも目を向けてください。
リスクがあるところには、必ずチャンスもあります。
今は見えない未来の可能性
家の中やスケジュール、心にスペースを作ることで、今は想像もできないような出来事や機会が訪れる可能性があります。
それが新たなチャンスです。
今はまだそのチャンスが見えていないかもしれませんが、脳はチャンスよりも危機に意識を向けがちです。
自分の想像を超えたものなので、私がどれだけ書いてもすべてを受け入れられないかもしれません。
しかし、もし断捨離を少しでも経験したことがあれば、以下のようなことを体験したことがあるかもしれません。
「まさか私がこれを捨てるなんて」「服が好きで絶対に捨てられないと思っていたのに、捨ててしまった」「あの婚礼家具を手放す日が来るとは思っていなかった」など。
私も、まさか一人暮らしを始めるとは思っていませんでした。
使わないものを持ち続けることで、そのような新たな機会や出来事を知らずに過ごしてしまう可能性があります。
だからこそ、後悔だけでなくチャンスや可能性にも目を向けてください。
不要なものを手放すときに後悔を恐れるのは自然なことですが、その恐れを乗り越えることで新たなチャンスが生まれるのではないでしょうか?
人生は選択の連続です。不要なものを手放す選択は、一見小さなことに見えますが、それがあなたの人生を大きく変えるかもしれません。
恐れに囚われずに未来を見据えてください。シンプルな暮らしが新たな視点とチャンスをもたらしてくれるでしょう。